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暗い…何も見えない。
「jklfd;a」
「jkl;fda」
「;lkjadsf」
呪文のように何度も同じような言葉を繰り返している。
何も見えない
ただ気味の悪い呪文が聞こえてくる
太ももに何か暖かい液体がかかった
それに独特の鉄のような匂い。
これは危ない。
逃げないと。
声が出ない。
息ができなくなってきた。
呪文が段々大きく聞こえてくる
熱い…
熱い…
「ー。」
「ミスター。」
「ミスター!大丈夫ですか?」
『うわぁぁぁぁあ!』
僕は叫びながら飛び起きた。
「落ちついて、落ちついて、深呼吸して下さい、そう、ゆっくりと。」
僕は初老の女性に肩を抱かれたまま、深く深呼吸をしていた。
「きっと怖い夢をみたのね、もう大丈夫よ」
彼女は僕から離れると、ドアの横にある受話器を手にして何かを話している。
数分後、メイドの格好をした女性がミルクティーを持ってきてくれた。
『ありがとう、もう大丈夫です、所であなたは?』
「私はここでマネージャーをしているの、部屋のチェックがてら休みの前の日は空いてる部屋に泊まるの。それで今日はこの隣の部屋に泊まっていたんだけど、ずっとうめき声が聞こえていたから気になってドアをノックしたのよ、そしたら叫び声に変わったから急いで部屋に入ったの」
『そうでしたか…』
「何か悪い夢でも見たのね」
『えぇ、何も見えなくて、でも何か呪文のような物が聞こえてくるんです、そして鉄のような、そう血の匂いがして…』
「そう…今夜は眠れそう?」
『えぇ、もう大丈夫です』
「じゃあ私は部屋に帰るわね」
『ありがとう』
「おやすみ」
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