眠り

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フランクフルト空港についてすぐに、私はホテルへ向かう。 普通はツアーで新婚や家族旅行などと一緒にガイドと行くんだろうが、それが雁字搦めのようで嫌だった。 しかし、ガイドブックがあるとはいえ、やはり異国の地、右も左もわからない。挙句、トイレで用を足すのに金がかかると知った時、自分はこの何も知らない土地で、自分を知る人間がいない所でひっそり死んで行く事を考えて、「ツアーにしとけば良かったかも・・・」と一人呟いた。 異国に到着して数分で個人ツアーである事に後悔しながらも、ガイドブック片手に、自宅で予約しておいたホテルまでタクシーで向かってもらう。 もちろんここはドイツ、言葉が通じるわけもなく、僕はただ単にガイドブックを指差し、そこに向かってもらった。 到着したホテルはインターネットで見るよりも少し小さい印象で、ちょっと洒落たビジネスホテル、そんな印象だった。 受付のブロンドの女性に名前を伝えると、早速部屋まで案内してくれた。 「あなた、観光で来たの?」 「えぇ」 「珍しいわね、この時期に観光だなんて、一人で来たの?」 「時期を外した方が旅行しやすいですから」 「そう・・・、ここが部屋よ、一人ではちょっと大きいかもしれないわね、何かあったらベッド横の受話器を取ってね、直接フロントに繋がるわ、テーブルの電話は外線もかけられるわ、フロントにはベッド横の電話からしかかけられないから、間違えないでね」 「わかったよ、ありがとう」 ドイツ人は温厚で優しいと聞いていたが、優しいというよりか、親しみやすいと思った。 ただ、どうしても顔などのイメージから、最初の一瞬「いかつい」と思ってしまう。 「だからいつまでたっても僕らは黄色いと言われるんだ・・!」 密かに自分に言い聞かせた。 荷物を整理して、何を喋っているのかわからないテレビをつけ、ガイドブックを眺める。 明日はライン川を下ってみようか、それともディズニーでモチーフにされたノンシュヴァンシュタインでも見に行こうか・・・。 そう思っているうちに、私は眠りについてしまっていた。
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