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此処に来て数週間が経ち、華月は自分の局にいた。
「あれっ今度は縫い物か?」
シンが局に来ると華月はチクチクと縫い物をしていた。
「そうだよ。女性達のお世話もしてるけど他の鬼達もお世話をしてるから暇になっちゃって、だから縫い物をして暇をつぶそうかと…。」
華月は年老いた(子供が産めなくなった)女達や妊婦のお世話をしていたが、相手の鬼が来ると他の女達のお世話をしていた。
だが今日はお世話をする必要がないほど暇となり、縫い物をしていたのだ。
シンは華月の縫う作業を見ながら
「なぁ、その狩衣って青龍様の?」
何気ない一言で手元が狂い針を指に刺してしまった。
「いたっ! 」
「大丈夫か!? 」
「大丈夫だよ。」
シンは華月の指の怪我に気にかけるが、華月はシンを安心させるようニコリと笑み返事をした。
だが、刺した指をみると血が出てきて赤い点が出来ている。
「じっとしてろよ。」
そう言うとシンが唇を寄せ口に含む。
―はいぃ!? ―
少女の顔が真っ赤になり、オロオロと慌ててしまいそうになる
―こっこれは治療なんだから我慢しなきゃ…でも恥ずかしいよぉ!!―
だが、シンの口に含む姿と唇や舌の感触に華月は恥ずかしくて顔を逸らしてしまう。
口に含まれている間ドキドキと心の臓が五月蝿く聞こえた。
早く離れてほしいと思っていると漸くシンは指から離れた。
「華月はドジだな。」
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