森瞳 雅

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「嫌だね。せっかくお前がすげー良い奴って分かったんだからよ」 「………………っ!!」  何でこの人はこんな恥ずかしい台詞をさらっと照れる事なく言えるんだ。 (………)  そう言えば、私もさっきこれに負けないぐらい恥ずかしい台詞を喋ってしまっていた。普段の私なら絶対あそこまで熱くならなかったはずだ。 (…この人のせい?)  『仲間』って言葉を聞いて気分が高揚していたのだろうか。 「どうした? 急に黙ったりして?」  分からない。技の組み立てを考えて方が全然楽だ。 「そう言えば先輩。先輩がトイレに行く前私に何か聞こうとしてませんでした?」 「あぁ、それはな。木刀はお前が武術やってるからって事で納得したけどよ。この、学校では存在しないはずの手錠が、執行部で使われてるのは一体全体どう言う訳よ?」 「それは兄の趣味です」 「うそーん」  分からないけど、なぜか心が少し心地良い。
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