安芸元 大樹

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 雅の慌てる様子が面白かったのでオレはさらに追い込む。 「会っていきなり、『執行の訓により連行します!』だからな」 「あれも初めてで分からず、兄さんに決まり文句だからって言われて騙されて言ったんですよ! あれ以来言ってないじゃないですか!」  恥ずかしいのか、ガーとまくし立てるように弁解してくる。 (なるほど。あの人なら確かにやりそうだ)  しっかし、雅は純だなー。んな嘘に騙されるなんて。 まぁ、部長もそれを分かっててやってんだろうけど。 「お前も結構苦労してんだな」 「何哀れんだような目で見てきてるんですか! ……それに、それは先輩も同じでしょう?」 「あぁ、まあな。 でもその苦労もいよいよ明日で終わりってわけよ」  ん~と背中を伸ばしながら言う。 「…………」 「ん?どうしたんだ雅?」 「あの先輩…」
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