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すると青海さんはクスっと上品に笑う。
「ふふ。かしこまらなくても平気ですよ。
この姿勢は私の趣味のようなものですから、もっとくだけてくれてかまいません」
その言葉を聞いて、俺は頭をポリポリとかく。
なんか、妙に厳かになっていた自分が馬鹿みたいだ。
「……はは。そうなんすか! なら普通にいきますね!」
恥ずかしさを隠すために、出来るだけ普通に返したつもりだ。
青海さんはふふっと笑うと、
「よろしくお願いしますね。
では、何かご注文なさいますか?」
いきなりの言葉に面を食らう。
そうだ、ここは喫茶店なんだ。
「あ、え。ええっと……」
焦る俺に青海さんは口元を緩ませながらしゃべった。
「何もご注文なさらなくても結構ですよ。
ここは喫茶店とは少し違いますから。」
優しく語りかけられた言葉に、俺は首をひねる。
注文しなくても良い?喫茶店とは違う?
いや!今はそんなことを考えても始まらない。
『やっぱり注文しなければ悪い』
という結論が、俺の頭の中いっぱいに広がった。
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