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「……あぁ、春一番やぁ。
……桜の化身の逆ナン断って良かったわぁ」
にやけた顔でエセ関西弁を使い、戯言を吐く俺は春の陽気にやられた変態に見えたことだろう。
ゲーム画面から目を離し、眉間にしわを寄せて見てくるコータも何故か可愛らしく見える。
「……さよでっか」
首をかしげた後、再びゲームに集中し始めるコータ。
いつもなら、冷たいコータに熱いラブコールをしている。
だけど、俺の頭には先ほどのことしか頭にない。
目をつぶるとあの時の匂いが蘇る。
繊細で、柔らかくて、温かい香り。
どこか懐かしい、落ち着く香り。
陽気な変態は、何度も何度も目をつぶった。
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