<チョコレート>

27/31
前へ
/41ページ
次へ
初日とは違い、皆各々でしゃべっている。 相変わらず、俺の左隣りは不在。 っていうか、俺を囲む席はみんな出払ってるし。 一人ポツンと座るのがどんだけ寂しかったか。 ……初日で妥協した俺が悪いのか。 まぁ、それはいいや。 寂しい俺は、コンパスが来るまでのんびり仮眠しようと突っ伏した。 腕で枕を作り、頭をベストポジションに置いた……その時。 俺の目の前をヒラヒラのスカートと共にそよ風が通った。 後ろでは、椅子を引き人の座る気配。 …… ……鼓動が速くなる。 脈打つ心臓は、血液と共に心地よい熱を体全体に運ぶ。 顔が熱い。閉じていたはずの瞼は、何かを求めるように開いた。 ……あの匂いだ。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加