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桜が舞い、清々しい香りが辺りを包む。
側道には桜の木が連なり、まるでトンネルのようにその形を作っている。
この道は辺りでは有名な通称
「桜の散歩道」。
その道で、俺は今自転車を走らせている。
「・・・ふぁぁ。眠い。」
耳にはイヤホン。
左手にハンドル。
そして右手には板チョコを握りながら。
この道の先にあるのは
「都立・千代(ちよ)高等学校」
地域で一番の偏差値を誇り、進学率90%を超える進学校。
・・・そして、今日から俺が通うことになる学校。
桜の散歩道を抜け、学校までもうすぐというところで俺はある店が目に入った。
周りには色々な言葉が書かれた、沢山の旗が立っている。
「お菓子が揃う!」
「もってけドロボー!」
「冷やし中華始めました!」
「あなたの心の拠り所!」
そんな胡散臭い、古ぼけたお店。看板には
「カカオパルプ」
『・・うわぁ。気になる。』
そんなことを考えながら俺は、遅刻間際の学校に自転車を急がせた。
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