<チョコレート>

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教室に着くと、既に俺を抜いたほぼ全員が着席していた。 当然そんな中に小走りで入ってきた俺には視線が集まる…… 『……うわ、気まず!』 とりあえず、姿勢だけでも見せておこうと肩をあげ、頭を低くしながら気まずそうな感じで入室した。 で、どこが俺の席かわからない。黒板に目をやると、席順が綺麗に書かれていた。 「……一番前」 最悪だった。二列目の一番前。 一番黒板が見やすい席。 勉強のはかどる席。 優等生の座る定番席。 そして、一番教師からも見えやすい、俺にもっともふさわしくない席… とりあえず席に座り、とりあえず鞄をかけ、とりあえず頭を抱えてみた。 『うわぁ、絶対寝れん。早弁も出来ん。授業中音楽聴いたり、マンガも読めん…』 俺の花の高校LIFE妄想がくずれた瞬間だった。 しばらく頭を抱えていると、スーツをビシっと着こなした眼鏡の教師が入ってきた。 教師はそのまま教壇の前まで行くと、腕時計を見る。 ……キーンコーンカーーンコーン… 時間ぴったり。 七三分けに黒ぶち眼鏡。律儀そうな外見は伊達じゃなかった。 「みなさんおはようございます!」 チャイムが鳴り終わると【コンパス】は挨拶をした。
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