猿の手

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「そう言えば、この間、喜多君に美味いラーメン屋を教えてもらったから、そこに行ってみるかい?」 「いいですねぇ。ボス、行きましょう。」 私は、少し大袈裟に言って探偵の背後にまわり背中を押して外へと出た。外は、まだ冬の厳しさが根強く残っていたが、お春さんの家から帰ってきた時のような心の中まで凍てつくような寒さは感じなかった。 この時の私は、まだ知らなかったのです。この事件が、これから起こる事件の始まりにしか過ぎなかったことを。そして、この事件を皮切りに、この世の理(ことわり)と異なる事件に私自身が深く関わっていくことになることを…。 序章…猿の手 了
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