いつか誰かを愛した時 前編

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それどころか他人に触れる温もりが心地よいことだけをはっきりと感じていた。 そっとベッドの上に下ろされ記憶があいまいな帰ってきたころにもされたように布団をかけられた。 「三蔵と八戒ももうすぐ帰ってくるぜ。一人で寂しかったか?」 「・・・なこと、ない。」 「まーた嘘ばっかり。」 からかうようにして言われた言葉にできるだけいつもの通りに返すとくしゃりと頭をなでられる。 それさえも心地よいと感じてしまう自分はどうかしてしまったのだろうか。 そうこうしていると玄関の扉が開いて「こんなところに荷物散らかしっぱなしにして!」という声が聞こえてきた。 それを聞いた悟浄がまずいというような顔をして玄関へとかけていく。 「どういうことですか、悟浄。」 「いや、これはだな、悟空は床にへたり込んでたもんだからそっち介抱してたわけ!」 「悟空が?」 「あぁ。水飲みたかったらしい。」 「そうですか。それはいいからさっさと荷物片付けてください。」 「・・・へーい。」
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