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皆の会話には自分の居場所がない。
いつもならばここに一緒になっているはずなのにそれがない。
その事実がぎゅっと胸を締め付ける。
八戒なりの優しさを感じつつもその会話に居場所がないことが判ってそればかりが悲しかった。
「ね?置いておきますよね?」
「・・・。」
三蔵の沈黙を八戒は無言の肯定と受け取ってよろしいと微笑んだ。
そして俺に向き直ると名前はなんていうんでしょうか・・・と首を傾げる。
悟空は口を自分の名前の形にゆっくりと形づくる。
けれどそれを聞き取ってもらえる事はなかった。
その後すぐに筆談と言うものも試してみたが“人魚は人の文字が書けない”為か文字すら書く事が出来なかった。
与えられた時間。
砂時計の砂が少しずつすべり落ちていく。
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