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ざわざわざわざわ…
「へぇ。そうなんですか。お似合いかもしれませんね。」
精一杯平静を装って、それだけ言い切ると私は一言先輩に挨拶をし、その場を離れた。
ざわざわざわざわざわ…
穏やかな春の陽気とは裏腹に私の心には黒い陰がもくもくと現れた。
何故こんなにも心がもやもやするのか、自分でも不思議だった。
先輩の言葉が耳に入ってこないほど、私は動揺していた。
ただただ「嫌だ。」と思った。それが何に対する感情なのかも分からない。
自分のおもちゃを取られた子どものような気持ちなのか。
自分の身近にいるふたりが離れていってしまう寂しさなのか。
それとも……
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