第三章 不協和音

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   暑さの根源となる太陽も顔を覗かせたばかりの、小鳥のさえずりが聞こえて来そうな程清々しい朝。  タオルケットを申し訳程度にお腹にかけているハルキは、まだ夢の中でまどろんでいた。  起床を促すかのようにカーテンの隙間からもれる日差しを、無意識に手でさえぎる。     「……チョコレートパフェ…………」      そしてごにょごにょと寝言を呟くと、嬉しそうに顔を綻ばした。     「うー、うー……バキュームせいじ……ん」      しかし、次の瞬間には一転して険しい表情をみせる。     「やめろ……やめ、ろ…………それは俺のパフェだぁぁぁ!」      息を荒げ布団から勢いよく上半身を起こしたハルキは、悲しみからか顔をひしゃげている。  ――と、そこに聞き覚えのある騒音がハルキの耳についた。  
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