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愛情がないわけではない。しかし、和輝は母親と自分の間に壁のような物を感じていた。
どこか他人行儀で、一定の距離を保っているような――。
それからは二週間に一通のペースで送られてくる母親からの写真同封の手紙が、和輝を少なからず安堵させた。
距離は置かれても、まだ捨てられてはいないんだ――と。
そんな事情で家には和輝一人しかいないわけだが、そのおかげでハルキはこそこそと隠れる事なく過ごせている。
急に一人にされた和輝は戸惑いや不安、もちろん寂しいと言う気持ちもあった。しかしあの夜、ハルキが家に来る事になったあの日ばかりは「一人で良かった」と切に思ったのだった。
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