11人が本棚に入れています
本棚に追加
指定された場所には、彼女がいた。
こちらに気づくと俯いて、服の裾を握りしめて。
「あ……の…………」
消え入りそうな声で呟くと、それきり黙り込む彼女。
哄笑を響かせて、幾人かの誰かが現れる。
そういうことか、と驚くふりをしながら思った。
誰かが彼女の肩に手をおいて、携帯の画面を見せびらかす。
そこに映っていたのは、あの時の微笑む彼女と僕。
誰かが何かを言って。
誰かが何かを言った。
彼女はただ、俯いていた。
最初のコメントを投稿しよう!