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遥さんは警戒した。
しかし、私とお孝さんには、声の主が分かった。
「土方さんだ!」
私は玄関へ向かって駆け出した。
「あっちに行ったら、隣だと言われたので来た。ご苦労だった」
土方さんは言った。
「これから総司を連れていく」
土方さんはそう言って、後ろに立っていた大柄な男性を前に押し出した。
「島田です」
彼はそう言って、頭を下げた。
誠実そうな顔。
「こいつに運んでもらう」
助かった、と思った。
これから女三人がかりで運んでいかなければならない苦労を考えると、願ってもない人であった。
「島田は総司を連れて先に行っててくれ。俺は文を連れて行く」
「分かりました。しかし、この状態でどうやって運べばよいでしょうか・・・」
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