27人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「私達、手伝いますよ」
お孝さんと遥さんが島田さんを手伝って、何とか沖田さんは島田さんの背に乗った。
「お孝さん、遥さん。こっちも手伝ってもらってもいいですか?」
私が言うと、二人は頷いたが、遥さんは
「もう"遥さん"なんて呼ばなくていいよ。遥でいいよ、文」
「分かったよ」
私は仕方ないという表情で、
「遥」
と呼んだ。
遥は笑顔を見せ、
「それでよし」
と言って、お孝さんの家へと走り出した。
「文ー。着替えってこれだけ?」
遥が私を呼ぶ。
「そうだよ。男の人はそんなに多くないんだよ」
諭すように言う。
「それでも、沖田さんは着物汚しちゃうから多い方がいいんじゃない?」
確かにそうだった。
私が見ていない間に血を吐いているようで、毎日のように着物が汚れてしまっていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!