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最初の頃は、私もお見舞いに行った。
しかし、やがて病状が悪化し、妹の私でさえも会えなくなってしまった。
それでも沖田さんは、仕事が終わってから、医者が止めるのも聞かず、毎日会いに行っていた。
それが原因で、沖田さんも莉緒ちゃんと同じ病にかかってしまった。
「総ちゃん・・・ごめんなさい・・・」
死ぬ間際で会うのを許された私の前で、莉緒ちゃんは何度もそれを繰り返した。
「大丈夫よ、莉緒ちゃん。沖田さんは怒ってないから」
私はそうやって、何度も莉緒ちゃんを励ました。
それから数日で、莉緒ちゃんは亡くなった。
自分と同じ顔の人が死んでいくのを見るのは、何だか不思議な気分だった。
葬式には、沖田さんは来れなかった。
医者から外出を、禁止されていたからだ。
だから、葬式を取り仕切った私を知らなくても無理はないだろう。
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