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「・・・それにしても」
しばらく世間話に花を咲かせた後、沖田さんがそんな風に話を切り出した。
「本当によく似てますね」
私の顔をまじまじと見ながら言う。
「まあ双子ですから。性格は違うと言われるんですけどね」
実際、莉緒ちゃんは大人しくて優しくて、私は活発だと言われることが多かった。
沖田さんはふふ、と優しく笑った。
が、すぐに咳込んだ。
「大丈夫ですか?」
背をさすりながら、私は尋ねる。
以前、莉緒ちゃんにしたように、優しく。
それほど長い時間では無かったが、久しぶりに聞く咳だったので、少し胸が疼いた。
「大丈夫ですよ。・・・ごめんなさい。あなたに、心配かけてしまって・・・」
莉緒ちゃんに聞いていた通りの沖田さんがいた。
それがうれしくて、私は笑みをこぼした。
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