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「どうしたんですか?」
いきなり笑われて、沖田さんはきょとんとした。
「いえ・・・莉緒ちゃんから聞いた通りのいい人だなぁって」
私がそう言うと、沖田さんも優しく微笑んだ。
私はこの時、このままずっと、彼と楽しく、健全に過ごしていけると思っていた。
莉緒ちゃんの時のことも忘れて。
私が莉緒ちゃんのことを思い出していれば、そんな甘い考えは出てこなかったはずだ。
これから私は、莉緒ちゃんと彼の場合を重ね合わせて見ていかなければならなくなってくる。
その兆しだって、土方さんから話をされた時から、気づいていたはずなのに。
「それでは、明日からはこちらに住み込んで面倒を見させてもらいますので」
「分かりました。迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
笑顔で、私は彼の部屋を出た。
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