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雲が消えた。
孤独なる戦士の休息。
それは、
ただの思い込みかもしれない。
だが、そう思う事が
ナオにとって、
世界を構築する
アイデンティティーの
全てだった。
ほんの数秒、
時が止まった様な気がした。
自然に身を任せると、
風に促される様に
そっと瞼を閉じる。
途端に意識から、
校庭の歓声や
木々のざわめき、
町の雑踏が消えていく。
それはまるで
存在というスイッチを切り、
この世のどこからも
消えてしまいたいと願う、
自殺志願者の
最期の勇気の様に…。
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