“季節”

2/9
前へ
/60ページ
次へ
四時間目の終業ベルが 鳴り終わる頃、 いつもの様に ナオは目を覚ましていた。 ベルの音ではなく、 空腹の腹の音で。 もうこんな時間か と言いたげに、 使い古しの 大人びた腕時計に目をやると、 一人呟く。 「3、2、1…」 屋上へと続く 非常口の扉が勢いよく開き、 カウントダウンの 0を示す沈黙は、快く破られた。 現れたのは、 ナオのクラスメートであり、 幼なじみのルイだった。 その手には 色違いの弁当箱を 二つぶら下げている。  
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加