“季節”

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「お早う、ナオちゃん」 軽く息を弾ませながらも、 ルイの笑顔の中には、 駆け足で来たその疲れを 感じさせない力があった。 それ所か、 屋上へ降り注ぐ浅い光が、 ダークピンクのヘアピンで 横に揃えられた前髪に 眩しく反射して、 彼女の表情を にわかに際立たせていた。 悪戯な笑みを浮かべ、 持っていた水色の弁当箱を ナオの頭にコツンと乗せると、 半分呆れた笑顔と口調で ルイは続けた。  
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