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地平線すら望める広大な平原。
全てを見守る様に、夜空に星々が煌めき輝く静かな空間を一筋の閃光が引き裂いた。
刹那とも思われる早さとは裏腹にふんわりと揺られるようにそれは降りてきた。
その黒に塗りつぶされた球体は、あたかもそこに夜空を切り離してきたかのように、闇よりも深い黒で覆われ
平原の少し低くなっている地面に球体がふれると、上部から少しずつ虚空に散っていき、完全にその姿を消した後には一人の少年が仰向けに横たわっていた。
腰まである薄い紫の髪に紫の瞳。痩せすぎな程きゃしゃな体躯。とは裏腹に少し大きめな鋭い目には確かに力強い光が灯ってゆっくりと開かれた。
「これが…外の…世界………やっと……ぼ…くは………」
それだけ呟くと、少年の意識は途絶えたのか、瞼は閉じられ、静けさと僅かに風に揺られた草の音だけが残った。
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