第1章

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小川に着くと、すぐに水を手ですくい顔を洗った後、持ってきておいた布を水に浸し体を拭く。 まだ季節は春の終わりというのもあり、冷たい水がすぐに寝ぼけた意識を覚醒させたようだ。 「やっぱり冷たいなぁ……お腹空いた」 空腹を知らせるお腹の音でちょっぴり恥ずかしい気持ちになったのか、ほんのりと頬を朱に染めた。 視線を上に向けるとまるでその事を話しているように囁きあっている小鳥達にますます羞恥心を煽られたのか、早足になりながら、待ってくれている動物達のもとに戻り、また同じ道を歩いて帰った。 ──── ─── ── 少しして、家に着くと森の木の実がたくさん家の前に置いてあった。 「こんなにたくさん?いつもありがとう。ヤパの実まである」 少年の帰りを待っていたのか、木の実を集めてくれた動物達にお礼を言ってから家の前で少年はみんなと朝食を食べ始めた。 ちなみにヤパの実とは甘味が抜群な梨のような食感の果物で、少年の大好物なのはまた別の話。
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