第一章

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  そんなことを考えているとチャイムが鳴り、俺は急いでまだ綺麗な数学の教科書を鞄から取り出す。 それから数分後、おじいちゃん先生が教室に入って来た。子守唄を奏でているかのごとく話す彼の授業だが、遅刻を反省している俺は真面目に聞くことにした。 「彰梧、お弁当食べよう」 今は昼休み。悠斗は手に持っていた弁当を俺の机に置き、俺の前の席の女子に笑顔で話し掛け椅子を借りてきた。その女子は顔が赤くなっている。 「相変わらずだな」 「何が?」 小さな声で言ったつもりだったがどうやら聞こえてしまったらしい。悠斗は弁当を開けながら俺の方を見る。
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