ラーメンと迷子

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「あ~と……お嬢さん。 あなたはそのラーメンを食べないのかい?」 実にぎこちない話し掛け方である。 そして少女は徹を見向きもしない。 気まずい沈黙。 ぐつぐつ煮える鍋の音が、やけに大きく聞こえる。 徹はこの少女とのコミュニケーションを諦めようと思ったが、そこで徹は考えた。 「もしかして食べ方わかんねぇのかい?」 少女が徹の言葉に反応した。 どうやら日本語はわかるようだ。 徹は割り箸を恐る恐る少女の前に差し出す。 「え~と、これを使うんですよお嬢さん」 少女は観察するように割り箸を見た。
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