ラーメンと迷子

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徹は内心ドキドキしていた。 それはまるで野性動物に餌を与えているような未知の感覚だった。 そして徹にとって信じられないことが起こった。 「………………」 少女が口を開けてこっちを向いている。 「………………」 まるで親鳥に餌をねだる雛のようだ。 「………………ん」 箸を置いて無視すればいいのだが、徹はそれをしてはいけない気がした。 そう思ってしまった。 徹は渋々少女の親鳥となった。 この時には徹のラーメンは出来ていたが、少女が食べ終わるまで徹はお預けをくらった。 少女が食べ終わったころには、徹のラーメンは伸びきっていた。
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