不審者と保護者

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30cm。 そこで徹の前を、右から何かが高速で通過していった。 10cm。 だがそこにビニール袋はなかった。 徹の目の前で、一瞬でそれが消えたのである。 直後、徹の左側からトラック同士が正面衝突したような爆音が響く。 反射的に音がした方を見る。 そこには崩れたビルの壁と、それに埋もれてぐったりした尾上がいた。 「……ぁん?」 あまりにも唐突すぎて徹は状況が飲み込めなかった。 だがそこにあるものが何かを徹は理解した。 「な……嘘だろ?」 徹はゆっくりと近づき、膝を折ってそれを見た。 尾上……
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