70人が本棚に入れています
本棚に追加
30cm。
そこで徹の前を、右から何かが高速で通過していった。
10cm。
だがそこにビニール袋はなかった。
徹の目の前で、一瞬でそれが消えたのである。
直後、徹の左側からトラック同士が正面衝突したような爆音が響く。
反射的に音がした方を見る。
そこには崩れたビルの壁と、それに埋もれてぐったりした尾上がいた。
「……ぁん?」
あまりにも唐突すぎて徹は状況が飲み込めなかった。
だがそこにあるものが何かを徹は理解した。
「な……嘘だろ?」
徹はゆっくりと近づき、膝を折ってそれを見た。
尾上……
最初のコメントを投稿しよう!