不審者と保護者

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徹はそれが動く前に動いた。 尾上を左へぶん投げ、シロを抱えて右へ跳ぶ。 徹が背中からぶざまに着地するのとほぼ同時に、それが振り落とされた。 重く低い破砕音。 コンクリートを爆破したような音とともに地面が揺れ、土煙りとも粉塵ともいえるものが舞い上がる。 そして徹は振り落ろされたそれを見た。 それは腕だった。 とてつもなく巨大な腕。 2m超もある大男と同じ、いやそれ以上に巨大な腕。 それが叩き込まれた地面は大きく陥没していた。 もし徹達があれを喰らっていたら、車に轢かれたカエルのようになっていただろう。
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