1話

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          公園のベンチに座り、煙草を吸っている。   空を見れば雲一つ無い青空だ。   俺は今、彼女を待っているんだ。       俺(金田友宏)はビンボーな家庭ですごしてる。 幼い頃は普通の暮らしをしてた様な記憶があるが、ハッキリ憶えてるのは、毎晩の様に飲んだくれる親父が多額の借金作ったまま死んでしまった事くらいだ。     俺はそんな親父を少しだけ憎んでる。 死んでしまった人だけど憎んでるんだ。   葬式の席で、隣で悲しむ母親(金田正子)が可愛そうだったよ。 あんな親父でも、ずっとついてきた母親が可愛そうだったんだ。     その後、借金を返せないまま、家を売り…   ボロッボロのアパートに引っ越して今にいたる。     兄貴(智明)と妹(京子)と俺の三人兄弟でさ。 母親が昼も夜も働いて俺達を養ってきた。 兄貴はその時は高校生で、学校帰りにバイトして母親の負担を減らそうと必死になってくれてた。     俺と妹はまだ中学生でさ…   妹は自分なりに無力な自分を責めたり、母親を心配したりで大急がしさ。   俺はと言えば…     そんな家族を冷ややかな目で見てた。 まぁ、思春期ってヤツ?   実際、ソレとも違うんだよなぁ。   何だろ?   他人の暮らしと比較して嫌になってたんだよな。     何で“俺”だけ! みたいな。   本当は“俺達”なんだけどな。     高校卒業して就職した兄貴は東京へ。   母親はその頃から病気がちでさ。 そんな母親を見て兄貴は一度は東京行くのを諦めたんだけど、母親が強がってさ…   「お母さんの事はいいから、自分の将来を考えなさい」   って。     その頃から俺と妹は毎日の様に喧嘩してたよ。   原因は俺だけどね。   毎日の様に学校サボって友達と遊んでた。 金持ちの娘と仲良くてさ、毎日ツルんでた。   家に帰ればタダ飯食って寝るだけ。 それの繰り返し。   そんなんが原因で妹との喧嘩がたえない。     まぁねぇ…   その頃からだろうけど…     楽な人生が楽しくなったのって…
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