1話

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一瞬誰かと思ったが、今ここに居るナース服を着た女性は、紛れもない俺の妹。       本来の兄としての対応と言えば…   「こんな所で何やってんだよ!」   って言ってビンタの一つでもしとく所だろうよ。 でも俺はと言えば…     「……えっ?ええ?」     挙動不審。   まぁ、今の現状を考えても、理想の兄としての振る舞いはできないだろうな。 だって、今の俺はパンツ一枚で既に臨戦態勢に入ってたからね。   風俗に来た客が、女の子来る前からパンツ一枚でいるのに、「こんな所で何やってんだ!」はねーわな。   むしろ妹のセリフだろう。   かと言って「辛い想いをさせたな…」なんて言って抱き寄せるなんて過保護なポーズもないだろ。   何度でも言う。 俺はパンツ一枚だ。   こんな無力な姿があるか?     そう考えてる時、沈黙を破って妹が重い口を開いた。     妹「助けて…」       ………え?       ここしかない!とばかりに、急いで服を着た俺。 目の前で泣いてる妹の姿に戸惑いを隠せないでいたんだ。     妹が泣いてる姿を見たの……     何年ぶりだろぅ…?       あの時の記憶がまた、蘇ったんだ。
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