1話

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        クソッ!   何なんだよ一体。   一度は経験した辛い思い出なのに、何でまた繰り返してんだよ!   そんな想いと、それを上手く言葉にできない自分に苛立った。     クソッ!   俺は妹の胸ぐらを掴んだまま、外に出る。   俺「お袋にあやまれよ!テメー、一体自分が何やってんのか分かってんのか!お前は辛いだけだろうが、お前を取り巻く皆が傷付いてんだよ!」     俺は何でこんなに熱くなってんだ?     俺「今すぐ辞めろ!」     妹「でも、お金を返さなきゃいけないんだよ!」   泣きながら訴えかける妹。       俺「俺が何とかしてやる!」       ……言ってしまった。     無職でヒモの俺が。     禁断の一言を…       俺「今働いてる所の給料高くてさ。ボーナスもそろそろ貰えるから、それを足しにしろ」           ついて良い嘘ってこの事だよな?   良い訳がないよ。   でも、言ってしまった。   今は、これが正しいと思うしかない。         妹「ありがとう」     更に泣き出す。     俺「兄弟だろ?心配すんな!」         チクショウ…       心の中で叫ぶ。     俺は、言葉にならない位に苛立っていたんだ。
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