闇夜に光る赤い目

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はっきりと瞼の裏に刻まれている……あの夜は満月だった。そして秋にしてはいやに風が冷たかった。 俺はなかなか寝付けず冷たい空気を浴びに外へ出ていた。 満月を眺め、ようやくうとうとしていたところにケータイが鳴り響いた。 (またかよ…今日は電話が多いな) 護は苛立ちを感じながらも電話に出た。その相手は異様なほど取り乱した戒の母親だった。 「あぁ…そんなに慌ててどうしたんすか?」 「い、今すぐ中央病院に来て!か、戒が…戒が!」 眠気など、どこかへ消えてしまった。戒の身に何かあったのだ! 護は一心不乱で街中を走り抜けた。酔っぱらいどもを突き飛ばし不良を無視しとにかく走った…走った。走った! こんな時間に中学生が一人、鬼の形相で走り続けるのに驚き、道行く人たちは護に道をあけてゆく。 病院についた頃には十一時半を回っていた。 戒の母親の話では、戒は夕食を食べた後自分の部屋に戻っていた。しばらくして母が部屋を覗いてみると床に倒れている戒を発見したそうだ。
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