11人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
雨の降る深夜。赤と白のストライプ柄の傘が、繁華街を不安そうに揺れていた。持ち主の不安をそのまま表現しているようだ。
「…どこにいこっかな」
ぽつり、呟いたのは傘………の持ち主、神崎結衣。二つの短いみつあみに、白のロングTシャツとジーンズ。赤いスニーカーには泥がはね、少し汚れている。
時刻は午前1時。普通、結衣のような少し童顔の高校生はよい大人に注意されるか、悪い大人に連れ去られるかしそうなものだが、まわりの大人は皆結衣の怒りのオーラに近づけずにいた。
少し、ほんの少し悪いことがあっただけだった。それがあまりに多発して、結衣の堪忍袋の緒が切れてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!