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成績は上の中。友達もまぁまぁいて、好きな人もいる。この間やった三者面談でも先生に順風満帆だと言われた。
でもみんな知らないだけ。アタシにだって悩みくらい山ほどある。
結衣は今までのことを考えながら、ふっと足を止めた。
「…そうよ…みんな何も知らないくせに……」
「神崎結衣様」
「!!!!!」
突然フルネームで呼ばれ、結衣は心臓が止まりそうになった。
慌てて振り返ると、そこにはサングラスに黒のスーツ…さしている傘まで黒い。
(…あ…怪しすぎるっ…!!!!)
そもそも何でアタシはこの人に呼び止められたの?何でこの人は私の名前を知っているの?
「…えっと…」
疑問のすべてをぶつけようかと思ったのだが
「神崎結衣様、ですね?」
「は、はい…」
男の質問に遮られてしまった。
「…あなたの…思い通りの世界を差し上げましょう。」
「…はい?」
この人頭おかしいのかも…ここは適当に切り上げて逃げた方が懸命ね!!
「あ、アタシそんな…」
だが男は結衣の言葉を待たずに、懐からペンライトを取り出した。
「一週間。」
「え?」
「一週間後の夜9時、一度迎えにゆきます。それまでに、『あちらの世界』に永住するかどうかをお決め下さい」
次の瞬間、男のペンライトの光を直に見た結衣は、だんだん意識が遠退いていった――…
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