一 静止する日常

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 そんな風に保たれていた結衣の順調な生活は、少しのズレで壊れていった。  今朝、大好きな人、西明寺武人に、友達の田中小百合が告白しているのを見てしまったのだ。  裏切り。その言葉が結衣の頭をよぎった。大好きな人が、大好きな友達にとられる。結衣はどうしようもない不安にかきたてられ、今日一日一言も小百合と話せなかった。  帰宅したら帰宅したで、仕事が休みの父と母の口喧嘩が続いていた。結衣はいつも通り自分の部屋に入った。  どれくらい時が経っただろうか。今朝のことをぼんやり考えてくると、部屋に母が入ってきた。
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