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すべての境界が失われて、脈拍のリズムが一つになる。
温度が混じりあって、皮膚の癒着が進んでいるのか、手足もろくに動かなくなった。
それでもいいと思いながら、失われていく感覚から意識を逸らす。
ゆるやかに失速していく思考力をかき集めて、つい先刻のことを思い出す。
「……永遠に続くものって、あると思うか」
そう、自分に訊ねた人間がいた。
あまりに唐突な問いで、「さぁ」としか返さなかった哲雄に、その男は自分もわからないのだと言った。
永遠。
そんなもの、考えたことさえなかった。
けれど、今。
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