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「なぁ光輝、今日部活行く?」
「んーと、行かない」
「なんでよ?」
「どうせ、一人で黙々と絵を描くだけだろ?
わざわざ行く意味無いって」
美術部なんて何ヶ月行ってないだろうな。
中学生の頃は絵を描くのが
あんなに楽しかったのに、
今では単なる作業だ。
なのに、コイツは何度も俺に声をかけてくる。
俺なんか居なくたって、
部活は成立するんだ。
何を心配する必要があるっていうんだ。
階段を一段、二段と降りていく。
二人分の靴がペタペタと鳴るけれど、
それも聞き慣れた耳には雑音に変わる。
聞き慣れてしまうと、
何だって雑音になってしまう。
そう君だよ、君。
ふたつの雑音を掻き消すように、
自然と急ぎ足になっていた。
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