《紫》PURPLE

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随分と遠くまで来たものだ。 下界の景色も見た事のない風景にかわっている。 不意に、風が頬を撫でる。 甘い香りを運んで来た風に、顔を上げ辺りを見回すと 一面、紫色。 みた事のない、綺麗な花。 紫の絨毯。 気品高い選ばれた者だけが持つ崇高さ。 艶やかな色の中にも、どこか、深い海の底にいる様な。 チラチラと紫と紫の隙間からのぞく、濃い碧色がそう思わせるのか。 この紫の向こう、君がいるかもしれない。 そんな希望を持ちながら、甘い蜜の匂いに誘われるようにして、足を踏み入れた…。 .
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