第1章

17/30
前へ
/57ページ
次へ
などと八十が分析しているうち、デカ女は視線を外して、これまでそうしていただろう、岡本教諭に移した。 「突っ立ったままでどうした。早く座れ」 日比に促され、八十は対面する位置、つまりデカ女の隣に恐る恐る腰を下ろした。 そんな八十をデカ女は訝しむように見ていたが、八十は気付かなかった。 「さてと……泊木、お前の話を聞かせてもらっていいか」 尋ねてはいるが有無を言わさない迫力。 余計なギャラリーもいることからあまり気は乗らないが、渋ってあらぬ疑いを掛けられるのはもっと気乗りしない。 八十は掻い摘んで当時の事情を説明した。 「なるほどな……それについては分かった。だが、今朝早くに寮を出たのは何でだ?」 「それは……」 言える訳がないだろう。 試しにシミュレーションしてみる。 『今隣に座ってる奴を探すために早出をしました』 『……詳しい話は署で聞こうか』 『やだ、キモーい』 「……」 軽く凹んだ。 自覚していても、他人に言われれば傷ついたりもするものなのだと再確認。 日比の台詞(想像)はドラマの観過ぎと謂わざるをえないが、それでも、これに類することを言われるだろう。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加