神をぶち殺せ

プロローグ

俺はもともと無宗教で、神の存在なんか信じてなかったから、この解釈を初めて知ったとき特に気にも留めなかった。

その認識が変わったのは、自分の体質に気付いたときだった。

俺は、人一倍不幸なのである。

……正確には、人一倍不幸を引き付けやすい体質なのである。

そんな人間よくいるだろ、と思った人は、侮っている。

俺の不幸具合を、だ。

街中を歩けば見るからにカタギじゃない連中に絡まれ、電車に乗れば必ず痴漢に間違われ、スリにあった回数いくせいそう、それと同じでスリに間違われることいくせいそう。

これぐらいなら、まだツイてるほうだ。

車に轢れること数百回（轢れそうになったことを含む）、電車に轢れそうになること数回、火事に巻き込まれること、強盗に遭遇……キリがないのでそろそろ止めるが、ぶっちゃけ今生きてるのが不思議である。

今でこそそんな日常に慣れてしまったが、昔はそんな理不尽な世の中に枕を濡らしたもんだ。