第1章

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それが、今回もデカ女――十字環の介入で難を逃れることが出来た。 一度しか起きないことは奇跡、二度目からは、もう必然と考えるのが自然だ。 となると、どうしても彼女と接点を持っておく必要がある。 良い生活を送れなくてもいい。ただ、人並みに事故や不幸に遭わないで、青春!と言えるような生活が送りたいだけ。(後半は八十の性格上無理だと思うが) そのためにも十字環を探さないといけない。 ということで、帰りのHRはサボることにした。 教師への心象は最悪なので、気にする必要もない。 真新しい鞄に課題の出た教科のテキストだけを詰め、足早に教室を後にする。 「おい八十、また悪巧みか!」 そんな背中に、意地の悪そうな含み笑いが籠もった声がかかった。 もちろん久々野である。 それ以外のクラスメイトはこちらに視線を向けることもない。 朝、指導室から教室に帰った八十へのクラスメイトの態度は、最悪もいいところだった。 本人がいない間に何があったのか……久々野の感に触る笑みを見れば一目瞭然だった。
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