第2章

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放課後、二人は早速行動を起こした。 生徒の大半は帰宅してしまったが、情報は生き物と同じ。 時間ととも、尾鰭がついて風化していく。 「何か宛てはあるの?」 「まずは当事者――教員に尋ねてみるのが一番だろうな」 真顔でとんでもないことを言いだす。 「……いや、それだとすぐにダメ出しされない?」 相手は教師だ。警察相手なら未だしも、自校の生徒には口を割らないだろう。 それに八十は前科持ちで、二人とも呼び出しを食らっているのだから、不信感だらけだろう。 「だからと言って生徒はほとんど帰ってしまったぞ?それに情報量の少ない生徒に聞くくらいなら、初めから教師に当たろうと思ったのだが」 「う~ん」 一利あるかもしれない。 生徒に聞き込みをするにしても、最低限の情報を提示しなくては、相手もイメージが湧かず答えづらいだろう。 だが今朝の状況を見たかぎり、八十や環は被疑者の筆頭だ。 「わかった。……誰に聞くかは決めてあるの?」 「それについてはぬかり無い。誰が第一発見者かは午前中に目星をつけた」 「仕事が早いようで」 「話を聞きに行くのは物理教諭。今なら準備室にいるはずだ、急ごう」 二人並んで夕暮れの校舎を歩きだす。
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