アイツ

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私は小さく頷いた 涙は止まる事がなくただ溢れた 「私…彼が嫌いな訳じゃない… でも…」 その瞬間 私は言いそうになった言葉を引っ込めた 認めてはいけない この言葉を言えば 私は彼と別れてしまう 認めたくない 『お前はさ… 独りが怖いかもしれんけどさ やけんって誰かを好きなフリしても いつか相手にもそれが分かってしまうもんやない…???』 アイツはまたタバコを着けながらポツリと言った 私はそれを眺めながら あの呪いの言葉を呟いた 「私には彼しか居ない」 『そんな事あるか』 「私は彼以外居場所なんてない」 『お前がそう思ってるだけだ』 アイツは顔色(声しか聞いてないけど)を一つも変えずに言い続ける 『お前は独りやない』 『居場所なんていくらでもある』 そして少し考えて 何度も何か言いたそうに口を開くけど 何も言わなくなった
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