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萌え出る青葉。
――……父ちゃん…父ちゃん……!!!
子供が泣いていた。
雪が降る、寒い寒い日。
一面が真っ白く、その中で泣きじゃくる子供の父親が、横たわりそこだけ雪は赤く染まっていた。
寒椿が、ぼとりと首を落とすように、そこだけ花弁と同じ赤が、染まっていた。
子供の顔も赤い。
だが、父親だけは青白い顔をして、とても似つかわしくない色だった。
……いや、きっと『赤』が合わないのだ。
一色だけが、仲間外れだと。降る雪が、言っているように『赤』を埋めようとしていた。
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