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其れに気付いた黒衣の少年は、にっこりと笑って楸に近付いた。
「綺麗でしょ、緑の目。僕も気に入ってるんだ」
「だ…誰?勝手に人の家に上がり込んで…っ」
話し掛けられ、ふ、と我に返った楸は、紙袋をぎゅっと抱き締めた侭、目の前の少年に問い掛けた。
緑目の少年は、楸の様子など気にする風も無く、ゆっくりと歩を進めて近付く。
「僕は浹。君に伝えなきゃならない事が有るんだ」
「…え?」
そう言った少年…浹は、先程迄浮かべて居た笑顔を仕舞って、真面目な顔で楸を見据え、告げた。
「君はもう、此の世の人では無いよ」
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