毎日

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僕は見られていると わかると、何故だか おばさんへの良心という名の蕾を キレイな花に 無理やり開花させた! いや、 もう既にしてあった; なんでだろ? 誰でも一度くらいはあるよね? だれかが近くにいるから カッコつけてみる、 優しく振る舞ってみる、なんてことが。 例を上げてみれば、 トラックの運転手が 飛び出そうとした子供に、 保護者らしき人が近くにいると 「大丈夫かい?」と 優しく言ってあげる。 だけど子供だけの時は、 「気をつけろよぉ!」と 吠えたかる。 そんな人間の理不尽な心理の、 周囲の人によって 直感的な行動が変わるなんてことが。 だれにでも、、、 「えっと、 三つ目の駅ですよ」 僕は優しくそう言った。 笑みまでこぼして。 「ありがとねぇ」 おばさんはニッコリと笑って、 そう言うと バックからなにやら、 小さな物とり出した。 そして 「はい、ご褒美。」 と言って、それを差し出す。 その小さな物は、 一つのアメだった。 僕はその時、少し不思議な 罪悪感に見舞われた。 「あっ、ありがとうございます。」 そう言って僕は あいている方の手で アメを受けとる。
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